全国同和教育研究協議会の概要
 
2002年度全国同和教育研究協議会事務局
                        
 全国同和教育研究協議会(以下、全同教)は、1953年に結成されました。全同教は、県単位で組織されている同和教育研究協議会(以下加盟同教)で組織され、現在34加盟同教(大阪市・京都市・神戸市は単独加盟)で構成されています。その目的は、会則第2条「部落を解放する教育の内容を創造し、真の民主教育を確立するため、同和教育の研究と実践を目的とする」と規定されています。
 加盟同教は、各都府県市行政および教育委員会から認知・支援をいただき、教育現場と密接につながって組織されています。(「加盟同教一覧」および参照)
 

[全同教会則]

[全同教加盟同教一覧]
 全同教は、加盟同教におけるそれぞれの地域実状をお互い考慮・尊重しながら目的達成にむけ協力・共同・連帯して取り組みを進めています。
 毎年、総会において承認された「研究課題」に基づいて、各加盟同教を通じ、各教育現場において同和教育の研究・実践が推し進められ、それらの成果や課題を研究大会で交流・論議し、次年度の「研究課題」へとつなげています。こうした活動を経て、多くの教訓や成果が残され、各教育現場の中に生かされています。
 全同教の活動は、今日では就学前教育(保育・幼稚園)、学校教育や社会教育における同和教育の課題や、部落問題の解決に向けた啓発活動の課題、宗教界や企業や市民団体における取り組みの課題にも広がっています。(大会分科会構成を参照)
 さらに、「世界人権宣言」や「国際人権規約」「子どもの権利条約」「人種差別撤廃条約」など人権関係諸条約の具現化に向けた取り組みや「人権教育のための国連10年」の取り組みなど幅広く人権確立に向けた取り組みを呼びかけ、グローバルな視点に立って「人権文化の創造」「人権の街づくり」に向けて活動を展開しています。
 以下、全同教の主な事業とこれまでの取り組みの成果について略述します。
 
1.全同教の主な事業
 
 @研究大会
 「差別の現実から深く学び、生活を高め、未来を保障する教育を確立しよう」というテーマのもと、全同教研究大会を開催地都府県市ならびに教育委員会の後援をいただき、これまで53回開催してきました。
 加盟同教を中心に全国各地から毎年2万人以上(2万人〜3万人)の参加を得ています。学校教職員だけでなく、就学前教育関係者・社会教育関係・行政・PTA・企業・宗教界・自治会など広範な方々の参加をいただいています。
 大会では、全体会および34の分科会・分散会に分かれて、加盟同教より提出される150本から170本の同和教育実践レポートを中心に研究協議を行い、教育内容の創造や手法の研究、住民の部落問題解決に向けた自発的学習活動、行政による啓発活動、PTA・宗教界・企業・市民団体の取り組みを検証しています。
 さらに、校区や地域に被差別部落がない学校や地域で取り組まれている、部落問題をはじめさまざまな人権問題の解決に向けた取り組みも研究協議しています。
 また、部落問題の解決に向けた取り組みを軸にし、さまざまな差別問題(障害者・在日外国人・女性・いじめ等)の解決に向けた取り組みも研究協議しています。
 事実と実践を大切にしてきた大会での論議は、参加者に確かな「出会い」と「感動」と「変革」を与えてきました。さまざまな教育課題で悩み苦しんでいる教職員をはじめ参加者は、この大会での論議から、教育実践上の手がかりを得て、教育現場や地域・職場に、同和教育を広めています。
 
 A文部省・労働省要請および懇談会
 同和教育の振興・公的奨学金の充実・全国統一用紙の徹底等の課題について、文部省に対して要請と年2回の懇談会を行ってきています。
 また、部落の子どもたちの就労保障・すべての子どもたちの就職の機会均等・全国統一用紙の徹底等の課題について、労働省に対して要請と年1回の懇談会を行ってきています。
 それぞれの懇談会には全同教役員・事務局と加盟同教の代表者が参加して、各地の教育現場の実状を訴えています。                                       
 B分野別研究会
  「人権確立をめざす教育の創造」「自主活動、進路・学力保障」「社会教育」の3つの分野別の研究会と「豊かな人権教育の創造」実践交流会を300人から800人規模で開催して  います。それぞれの研究会は、研究大会同様、同和教育の実践レポートを中心に研究協議や情報交換を行っています。
 
 C加盟同教代表者会・進路保障担当者会・社会教育担当者会
 実態把握調査・白書運動、推進体制などの情報交換、加盟同教間の連携を行っています。
 
 D同和教育講座の開催
 「北陸地区」「東海地区」「東日本」「島根県」で同和教育講座を開催し、同和教育を広める取り組みを行っています。
 
 E機関誌および同和教育資料の発刊
 機関誌「月刊『同和教育』」を毎月15000部以上発行し、同和教育に関する情報・資料を掲載しています。
 また、さまざまな課題に応じた同和教育資料集や講演集も発刊しています。
 
2.全同教のこれまでの取り組み
 全同教は「差別の現実から深く学び、生活を高め、未来を保障する教育を確立しよう」というテーマのもと、一貫して反差別の教育創造に取り組んできた中から、次のような成果をあげ 、共有してきました。
 学校教育における取り組み
@差別と貧困からくる長欠・不就学を克服するために部落の親たちを中心に取り組まれた義務教育を無償にする闘いは、1963年に「義務教育教科書無償措置法」を実現し、すべての国民と子どもたちがその成果を享受することとなりました。
A教育の中にある差別的なものを取り除き、「学校と教育内容を、子どもたちの内面に迫るものに変革していこう」「子どもたちの願い、要求を組織していこう」と、学校を地域・親と子どもたち・教職員の共同の取り組みによって「地域からの教育創造」として具体的に改革してきました。
B子どもたちの生活の現実や成育の過程から学び、学習権を奪ってきたことに対する深い反省のもとに、教育条件の整備と教育内容の創造、そして学力保障に取り組んできました。
C子どもたちに、部落問題を中心に自然や社会について科学的なものの見方・考え方、豊かな感性を育くみ、差別に対する科学的認識を培ってきました。
Dさまざまな差別と人権侵害の具体的な問題について学習を深め、差別への怒り、差別を許さない生き方を培い、人権教育の具体像を明らかにしてきました。
Eなかまとして連帯し悩みや要求を解決していく「集団づくり」の実践は、「いじめ」や「荒れ」を克服し、あるいはそうしたことを決して生むことのない質の高い学級・学年・学校集団を実現してきました。
F就職差別撤廃運動により、採用選考の際に本人の適性や力以外のことを問い差別を生み出してきた「社用紙」の廃止と「全国高等学校統一用紙」(以下「統一応募用紙」)の制定等を実現した進路保障の取り組みは、すべての子どもたちと国民に享受される成果をあげてきました。
 
 社会教育における取り組み
@識字学級に代表される部落内における教育・文化活動の取り組みによって、部落の生活水準を高めることはもちろんのこと、差別を見抜き、一切の差別を許さない力を育んできました。
A地域住民の生活課題や要求と結んだ学習を通して、部落差別を作り出しているものや、部落差別とそれぞれの生活・仕事がどのように関わり合っているのかを明らかにしていく取り組みの展開により、部落解放に共感し行動する主体づくりを確立してきました。
B同和教育を行政や企業、労働組合、宗教団体や老人・青年・女性・PTA等の各種市民団体、社会教育団体や組織の中に位置づけて推進してきました。
C被差別の立場から差別をとらえ、そこから学習を組織し、自覚と連帯によって「差別をしない、させない者」としての立場を広範な人びとの中に実現させてきました。
D「雇用促進会議」「進路保障協議会」「身元調査お断わり運動」など、市民・行政・教育・運動等が一体となって、あらゆる差別をなくしていくための取り組みを推進してきました。
 
                                       以   上